@ 免許の申請
1. 宅建業の免許
宅建業の免許は2種類あり、国土交通大臣、または都道府県知事から受けます。
免許の種類
@ 2以上の都道府県内に事務所を設置 ⇒ 国土交通大臣
A 1つの都道府県内にのみ事務所を設置 ⇒ 都道府県知事
2. 宅建業法上の「事務所」
宅建業法上の「事務所」とは、次のようなものをいいます。
@ 本店(主たる事務所)
A 支店(従たる事務所) で, 宅建業に係る業務を行っているところ。
B 継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で、宅建業に係る契約を締結する権限を有する使用人を置くもの。
ここで注意すべき点は、支店は、そこで宅建業を行っている場合にのみ「事務所」にあたるのに対し、本店は常に「事務所」にあ たるということです。
3. 免許の申請手続き
免許を受けるためには、免許を受けようとする国土交通大臣または都道府県知事に対して、免許申請書を提出しなければなりませ ん。
そして、国土交通大臣に申請する場合には、直接に申請するのではなく、主たる事務所の所在地の都道府県知事を経由して、申請 することになっています。
これに対し、都道府県知事に申請する場合には、その都道府県知事に直接申講します。
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A 免許の基準
宅建業者としてふさわしくない人には、免許を与えるわけにはいきません。
免許を受けることができないのは、次の基準(免許の欠格要件) に該当する人です。
免許の欠格要件
@ 成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ない者。
A 宅建業法66条1項8 号または9 号に該当することにより免許を取り消され、その取消しの日から
5年を経過しない者。(免許を取り消された者が法人である場合は、その取消しに係る聴聞の期日・
場所の公示日前60日以内にその法人の役員であった者で、その取消しの日から5年を経過しないも
のを含む。)
B 宅建業法66条1項8 号または9 号に該当するとして、免許取消処分の聴聞の期日・場所が公示さ
れた日から、処分をするかしないかを決定する日までの間に、解散(合併・破産による場合を除く)、
廃業の届出をした者(解散・廃業をするについて相当の理由がある者を除く) で、届出の日から5
年を経過しない者
C Bの期間内に合併により消滅した法人または解散(破産による場合を除く) ・廃業届出があった
法人(相当の理由がある場合を除く)の聴聞の期日・場所の公示日前60日以内に役員であった者で,
その消滅または届出の日から5年を経過しない者
D 禁錮以上の別に処せられ、その刑の執行を終わり、または刑の執行を受けることがなくなった日
から5年を経過しない者
E 宅建業法もしくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反したことによ
り、または傷害罪、傷害現場助勢罪、暴行罪、凶器準備集合罪、脅迫罪、背任罪もしくは暴力行為
等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、また
は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
F 免許の申請前5年以内に、宅建業に関し不正または、蕃しく不当な行為をした者
G 宅建業に関し、不正または、不誠実な行為をするおそれが明らかな者
H 営業に関し、成年者と同一の行為能力を有しない未成年者で、その法定代理人がF〜Gのいずれ
かに該当する者
I 法人で、その役員または、政令で定める使用人が、@〜Gのいずれかに該当する者
J 個人で、政令で定める使用人が、@〜Gのいずれかに該当する者
K 事務所ごとに、従業者5人に1人以上の、専任の取引主任者を置いていない者
L 免許申請書やその添付書類中に、重要な事項について虚偽の記載をしたり、重要な事実の記載が
欠けていたりした者
「宅建業法66条1項8 号または9号に該当する」とは、
@ 不正の手段により宅建業の免許を受けたとき
A 業務停止事由に該当し, 情状が特に重いとき
B 業務停止処分に違反したとき
のいずれかに該当する場合のことです。
―重要語句―
成年被後見人: 精神上の障害によって、物事の判断能力を欠いており、家庭裁判所から後見開始の審判を受けた者のこと。
被保佐人 : 精神上の障害によって、物事の判断能力が著しく不十分で、家庭裁判所から保佐開始の審判を受けた者のこと。
破産者 : 多額の借金などを抱えて、それを支払うことができなくなり、裁判所から破産手続開始の決定を受けた者のこと。
復権 : 破産者に課されているさまざまな制限がなくなって、普通の人に戻ること。
役員 : 業務を執行する役員、取締役、執行役または、これらに準ずる者をいい、相談役、顧問、 その他いかなる名称を有す る者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する役員、取締役、執行役または、これらに準ずる者と同等以上の支 配力を有するものと認められる者を含む。
刑の執行を受けることがなくなった:減刑、刑の執行の免除等。
懲役刑・禁錮刑 : 懲役刑も禁錮刑も、刑務所に入れられることは同様であるが、懲役刑の場合、刑務所内で作業に従事させられる。
刑の執行猶予 : 刑の執行が猶予されること(懲役刑・禁錮刑に処せられても、刑務所に入らなくてもよいこと)。
禁鍋以上の刑 : 死刑、懲役刑、禁固刑をいい、ここで注意が必要なのは、執行猶予付きの刑の場合で、執行猶予期間が無事に満
了すれば、刑に処せられなかったことになります。
よって、その場合、すぐに免許を受けることができる。実刑の場合には、その執行を終えた日等から5年経過するまで
免許を受けることができません。
罰金刑は、禁鋼刑より一つ軽い刑です。罰金刑の場合、上記の罪を犯して罰金刑に処せられた場合には免許を受け
られなくなります。
実刑 : 執行猶予が付かない刑の通称。
傷害罪 : 人にケガをさせること。
傷害現場助勢罪: 傷害の現場で、はやし立てる等の行為によって、傷害行為を行いやすい雰囲気を助長すること。
暴行罪 : 人を殴ったりすること(ケガをさせると傷害罪になる)。
凶器準備集倉罪: 殴りこみ等のために、凶器をもって集まること。
背任罪 : 銀行の支店長が不正融資をしたり、会社員が自分の管理している会社のデータを不正に外部に流したりすることな
ど、任務に背く行為をすること。
未成年者 : 満20歳未満の者。ただし、満20歳未満でも、婚姻をした者は成年者とみなされる。
法定代理人 : 未成年者の保護者のこと。通常は、親権者である。
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B 免許証の交付、宅建業者名簿
国土交通大臣または都道府県知事は、免許をしたときは、免許証を交付しなければならない。
また、国土交通省および都道府県には、宅地建物取引業者名簿(宅建業者名簿) が備えられ、国土交通大臣または都道府県知事は、 この宅建業者名簿に、次の事項を登載しなければならない。
@ 免許証番号・免許年月日
A 商号・名称
B 法人の場合, その役員・政令で定める使用人の氏名
C 個人の場合, その個人・政令で定める使用人の氏名
D 事務所の名称・所在地
E 事務所ごとに置かれる専任の取引主任者の氏名
F 指示処分・業務停止処分を受けている場合、その内容・年月日
G 宅建業以外に営んでいる事業の種類
国士交通大臣・都道府県知事は、免許をするとき(および免許の更新をするとき) は、免許に条件を付すことができる。
免許権者 : その宅建業者に免許を与えた者のこと(正式な法律用語ではない)。 具体的には、国土交通大臣か都道府県知事である
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C 変更の届出
宅建業者は、次の事項に変更があったときは、30日以内に、その旨をその免許を受けた国土交通大臣、または都道府県知事に届け 出なければならない。
@ 商号・名称
A 法人の場合、その役員・政令で定める使用人の氏名
B 個人の場合、その個人・政令で定める使用人の氏名
C 事務所の名称・所在地
D 事務所ごとに置かれる、専任の取引主任者の氏名
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D 免許の効力・有効期間・更新
1. 免許の効力
宅建業の免許には、国土交通大臣免許と都道府県知事免許とがありますが、宅建業者は、どちらの免許を受けた場合でも、日本全 国で宅建業を営むことができます。
(東京都知事免許で、大阪府の土地の取引が出来る。但し事務所を置くことは出来ない)
2. 免許の有効期間・更新手続き
免許の有効期間は5年です。
したがって、その後も引続き宅建業を営もうとする場合には、免許の更新を受けなければならない。
更新後の免許の有効期間も5年です。
免許の更新を受けようとする者は、免許の有効期間満了日の90〜30日前までの間に、免許申請書を提出しなければならない。
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E 免許換え
1. 免許換えの必要な場合
免許を受けている者が別の免許を受ける場合を免許換えといい、免許換えには、次の3つのパターンがあります。
@ 国土交通大臣の免許を受けた者が、一つの都道府県内にのみ事務所を有することとなったとき
A 都道府県知事の免許を受けた者が、当該都道府県内の事務所を廃止して、他の1つの都道府県内
にのみ事務所を有することとなったとき
B 都道府県知事の免許を受けた者が、2以上の都道府県内に事務所を有することとなったとき
免許換えに期限はないが、免許換えが必要であるにもかかわらず、免許換えによる免許を受けていないことが判明したときは, 免許 取消処分を受ける。
2. 免許換えの申請手続き・効力
免許換えの申請の際は, 通常の免許の申請と同様、国土交通大臣免許を受けようとする場合は、主たる事務所の所在地の、都道府 県知事を経由して国土交通大臣に、都道府県知事免許を受けよう とする場合は、その都道府県知事に直接、免許申請書を提出し ます。
そして、免許換えにより新たな免許を受けたときは、従前の免許は自動的に効力を失い、また、免許換えにより受けた免許の有効期 間は、新たに免許を受けた日から5年となります。
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F 廃業等の届出
1. 廃業等の届出が必要な場合
免許権者は、宅建業者に関する最新の情報を把握する必要があるため、宅建業者が死亡したり、宅建業を廃止したりした場合には その旨を免許を受けた国土交通大臣または都道府県知事に届け出ることになっています(廃業等の届出)。具体的には,
次のように定 められています。
届出が必要な場合
@ 宅建業者が死亡したとき、相続人が届出をし、宅建業者が死亡した時免許が失効される。
A 法人が合併消滅したとき、合併消滅した法人を代表する役員であった者が届出をし、台併消滅時
に免許が失効される。
B 破産手続開始が決定したとき、破産管財人が届出をし、届出時に失効される。
C 含併・破産手続開始の決定以外の理由により解散した場合、清算人が届出をし、届出時に失効さ
れる。
D 宅建業の廃止をしたとき、個人の場合は本人が、法人の場合その法人を代表する役員が届出をし、
届出時に失効される。
上記の届出をする場合、@は相続人が死亡の事実を知ったときから30日以内に届出をし、その他は諸事情が決定したときから30日 以内となる。
2. 免許の効力が失われた場合の取引の結了
宅建業者の免許が失効したり取り消されたりした場合であっても、その宅建業者や一般承継人(相続人や合併により成立した法人) は、その宅建業者が締結した契約に基づく取引を、結了する目的の範囲内においては宅建業者とみなされ、その範囲で宅建業を営む ことができるとされている
―重要語句―
合併 : 2以上の会社が1つになること。
破産管財人: 破産者の財産を管理する人のこと。
清算人 : 会社が解散したときに, 残った財産の後始末をする人のこと。
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