@ 手付
1. 手付とは
不動産など高額な物等の売買契約締結の際に、契約をした証拠を残し、物件を押さえるなどの目的で、買主から売主に交付され
る金銭等をいう。
手付には、契約した証拠を残す、という意味のほか、原則として、解約手付という性質がある。
2. 解約手付とは
手付の金額を放棄することにより、相手方の債務不履行がなくても一方的に契約を解除できるとことをいい、次の二つのケースが
ある。
@ 買主(手付を支払った側)は、支払った手付金を放棄することによって、契約を解除できる。
A 売主(手付を受け取った側)は、手付の倍額を買主に償還することにより、契約を解除できる。
3. 手付解除できる時期
相手方が履行に着手した後は、手付による解除はできない。
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A 危険負担
1. 危険負担とは
建物を売却する契約を締結した後,その建物が地震で全壊してしまった場合など、売主の責めに帰すべき事由による履行不能では
ないので、債務不履行責任は発生しない。
しかし、建物が全壊したという損失は残り、当事者の内誰が負担するかの争いになるはずです。
この場合の解決を図るため、危険負担の規定が定められている。
2. 不動産の売買の場合
特定物に関する売買契約成立後、引渡し前に、売主(債務者)の責めに帰すことのできない事由で、目的物が滅失または損傷した
場合、買主は代金を全額支払わなければならない。
3. 停止条件付き売買契約の場合
停止条件付き売買契約の成立後、条件の成否未定の間に、売主の責めに帰すことのできない事由で目的物が
@ 減失したとき、売主は代金を請求できない
A 損傷したとき、売主は代金全額を請求できる
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B 売主の担保責任
1. 売主の担保責任とは
売買の目的物に欠陥等があった場合に,売主が買主に対して負う責任のことをいい、担保責任は6種類ある。
担保責任はすべて売主の無過失責任となりる。
2. すべて他人物の場合
土地が売主の物ではなく他人物であることにつき、買主が善意であった場合、買主は売主に対して、契約の解除と損害賠償の請
求ができる。
これに対し、買主が悪意であった場合、契約の解除のみ許され、損害賠償の請求はできない。
3. 一部他人物の場合
全部他人物の場合同様、善意の買主は、契約の解除と損害賠償請求ほか、他人の所有物の部分に見合った代金の減額請求が
できる。
なお、契約の解除については、契約の目的が達成できなかった場合に限って認められる。
これに対し、悪意の買主は、代金減額請求のみできる。
なお、一部他人物の場合の担保責任は、1年以内に権利行使しなければならない(善意の場合は、知った時から1年、悪意の場合
は、契約の時から1年)。
4. 数量が不足していた場合
善意の買主は、契約の解除、損害賠償請求、代金減額請求ができ、契約の解除は、数量不足のため契約の目的を達成できない
場合に限られる。
これに対し、悪意の買主は、いずれの権利も行使できない。
なお、数量不足の場合の担保責任も、数量不足を知った時から1年以内に権利行使しなければならない。
5. 目的物に地上権等が設定されていた場合
善意の買主は、契約の解除と損害賠償請求ができるが、契約の解除は、契約の目的が達成できなかった場合に限られます。
これに対し、悪意の買主は、いずれの権利も行使できない。
この担保責任も、地上権等がついていることを知った時から1年以内に権利行使する必要がある。
6. 目的物の抵当権等が実行された場合
善意の買主は、契約の解除、損害賠償請求ができ、悪意の買主にも、契約の解除、損害賠償請求が認められている。
また、抵当権等の実行により所有権を失った場合だけでなく、買主が抵当権等の実行を免れるために、自ら支出(第三者弁済や抵
当権消滅請求など)して、抵当権等を消滅させた場合にも、担保責任が生じます。
この場合の買主は、抵当権を消滅させるために支出した額の償還請求と、損害賠償請求を売主に対して行なう。
そして、この償還請求権と損害賠償請求権は,抵当権実行の場合と同様に、善意・悪意いずれの買主にも認められる。
7. 目的物に隠れた暇癌があった場合
ここでいう瑕疵には、物質的な瑕疵だけでなく、法律的な瑕疵も含まれる。
また、隠れた瑕疵である必要があるので、取引において、普通に注意していれば発見できるような瑕疵の場合は、担保責任は追及
できない。
瑕疵について善意無過失の買主は、契約の解除、損害賠償請求ができる。
ただし、契約の解除は、瑕疵のために契約の目的を達成できなかった場合に限って認められ、些細な瑕疵の場合などは、損害賠
償請求しかできない。
ただし、悪意の買主については、いずれの権利行使も認められない。
瑕疵担保責任の追及は、買主が瑕疵を発見した時から1年以内に行使しなければならない。
8. 担保責任免責の特約
売買契約において、担保責任を負わない旨の特約をした場合、原則として、売主は担保責任を負わない。
しかし、売主が蝦疵があることを知っていながら告げなかったとき、売主が自ら第三者のために設定・譲渡した権利に関する担保
責任については、その特約の効力は認められない。
9. 全部他人物の場合の売主からの解除
売主が他人物であることについて善意で売買契約を結んだ場合は、売主の側からも契約を解除することができる。
ただし、買主の不利益を考える必要があるため、買主が善意のときは、損害賠償をしなければならない(悪意の場合は損害賠償不
要)。
10. 代金支払拒絶権
売買の目的物につき、権利を主張する者がいて、買主が目的物の全部または一部を失うおそれがある場合、その危険の程度に応
じ、買主は、代金の全部または一部の支払いを拒むことができる。
よって、買い受けた不動産に、抵当権の登記があるときは、買主は、抵当権消滅請求の手続きが終わるまで、代金の支払いを拒
むことができる。
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C 品確法による瑕疵担保責任の特例
1. 品確法とは
品確法とは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」の略称で、品確法は、欠陥住宅に関するトラブル防止のために、さまざま
な規定を定めている。
2. 品確法の暇疵担保責任の特例
民法における瑕疵担保責任に関する規定は、動産も含めたあらゆる物が対象となる。
これに対し、品確法の瑕疵担保責任の特例は、新築住宅だけに適用される。
品確法において、瑕疵担保責任の追及手段として、損害賠償請求、契約解除のほか、修補請求も認められている。
そして、責任追及期間は、住宅の引渡しの時から10年間(特約によって20年まで延長することができる) となっている。
また、瑕疵担保責任に関し、住宅取得者に不利な特約は、すべて無効となります。
ただし、品確法における瑕疵担保責任は、住宅の「構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分」の瑕疵に限って認め
られる。
構造耐力上主要な部分以外の瑕撹については、上記の規定は適用されない。
品確法による瑕疵担保責任は、新築住宅の売主だけでなく、住宅を建築した請負人にも適用される。
ただし、請負人の責任については、契約解除は認められない。
3. 民法の瑕疵担保責任との関係
新築住宅で、品確法の瑕疵担保責任の規定が適用される場合でも、民法の瑕疵担保責任に関する規定の適用が排除されるわけ
ではなく、宅建業法の自ら売主制限における瑕疵担保責任の特約の制限についても同様です。
新築住宅の主要な部分には品確法の瑕疵担保責任が適用され、主要な部分以外は民法と宅建業法によって規律される。
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D 買戻し
買戻しとは、売買契約を締結する際に、契約後一定期間内に、売主が代金および契約費用を返還して、契約を解除できることをあ
らかじめ特約しておくことをいい、通常は、借金の担保の目的で利用される制度で、宅建業では以下のような場合がある。
@ 不動産につき買戻しをするには、売買契約と同時に買戻しの特約をしなければならない。
A 買戻しをするには、売買代金と契約費用のみを返還すればよく、原則として利息を払う必要はない。
B 買戻しの期間を定める場合は、10年を超えてはならず、最初に定めた期間を後で延ばすことはできない。
C 買戻しの期間を定めなかったときは、5年以内に買戻しを実行しなければならない。
D 売買契約と同時に買戻しの登記をすれば、第三者に対しても買戻権を主張できる。
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