@ 使用貸借
使用貸借とは、無償で物を貸し借りする契約のことで、借主の権利は、賃貸借に比べて、当然弱いものになる。
@ 使用貸借は、口約束だけでは成立せず、物の引渡しがあってはじめて成立する。
A 借主は、貸主の承諾なく、使用借権を譲渡し、又は転貸することはできず、無断で譲渡・転貸したときは、契約を解除される。
B 借主は目的物の通常の必要費を負担しなければならない(貸主に費用の支払いを請求できない)。
C 使用貸借は、借主の死亡により終了し、使用借権を相続することはできない。
D 当事者が返還の時期を定めなかったときは、借主は、契約に定めた目的に従い使用・収益を終わった時に、返還しなければなら ない。ただし、使用・収益を終わる前であっても、使用・収益をするのに足りる期間を経過したときは、貸主は、直ちに返還を請求 することができる。
E 使用借権は、貸主に対してのみ主張することができ、原則として、貸主以外の第三者に対しては主張できない
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A 請負
1. 請負とは
請負人がある仕事を完成させることを約束し、注文者がこれに対して報酬を支払うことを約束する契約をいう。
2. 完成した建物の所有権
建物ができ上がった瞬間の所有権の帰属については、特約があればそれにより、特約がないときは、材料の全部または主要部分
を供給した側に、所有権が帰属する。
ただし、請負人が材料を供絵した場合でも、完成前に報酬を全額支払っているときは、注文者に所有権が帰属する。
3. 請負人の担保責任
完成した仕事に瑕疵があった場合、請負人は次のような担保責任を負う。
@ 瑕疵修補請求権
注文主は、目的物に瑕疵があるとき、相当の期間を定めてその修補の請求が出来る
ただし、瑕疵が重要でなく修補に過分の費用を要するときはできない。
A 損害賠償請求権
注文者は、瑕疵の修補に代えあるいは修補とともに、損害賠償講求ができる
B 契約解除権
注文者は、瑕疵の修補に代え、あるいは修補とともに損害賠償講求ができる。
ただし、建物その他の土地の工作物については解除できない。
これらの担保責任は、原則として、目的物引渡しから1年以内に行使しなければならない。
ただし、木造の建物その他土地の工作物については5年、石造、土造、金属造等の工作物については10年となる。
4. 注文主からの一方的解除権
仕事が完成しない間、注文者はいつでも損害を賠償して契約を解除することができる。
注文者にとって、請負の完成が必要でなくなった以上無理に契約を続けさせても意味がないので、請負人に債務不履行などがなく
ても、注文者から一方的に契約を解除することができる。
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B 委任
1. 委任とは
当事者の一方が契約などの事務処理を相手方に頼み、相手方がこれを承諾することによって成立する契約をいい、事務処理を頼
む側を委任者、頼まれた側を受任者と呼ぶ。
2. 報酬の支払い
委任は、願則として無償であり、特約がない限り報酬を請求することはできない。
3. 受任者の義務
(1) 善管注意義務
受任者は、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負いう。
(2) 受任者の報告義務
受任者は、委任者から請求があったときは、いつでも事務処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過およ
び結果を報告しなければならない。
(3) 受取物の引渡し義務
受任者が事務処理をするにあたって受け取った物は、委任者に引き渡さなければならない。受任者が、委任者に引き渡すべき
金銭を消費したときは、消費の日以後の利息をつけて委任者に支払わなければなりません。
(4) 委任の終了後の処分
委任契約が終了した場合でも、急迫の事情があるときは、受任者(その相続人または法定代理人)は、委任者(その相続人また
は法定代理人)が委任事務を処理することができるようになるまで、必要な処分をしなければならない。
4. 事務処理に必要な費用
事務処理に必要な費用につき、受任者の請求があれば、委任者は前払いをしなければならない。また、受任者が立て替えた費用
は、支出の日以後の利息をつけて償還しなければならない。
5. 委任契約の解除
委任契約は、いつでも、いずれの当事者からでも、自由に解除できる。
ただし、急に解除したことによって、相手方に損害が生じた場合、原則その損害賠償をする必要はある。
なお、委任契約は、事務処理を行っている間、契約関係が継続する(継続的契約)ので、解除の効果はさかのぼらず、将来に向か
ってのみ効力を有します。
6. 委任契約が自動的に終了する場合
委任者の死亡・破産手続開始決定および受任者の死亡・破産手続開始決定・後見開始の審判により、委任契約は白動的に終了
する。
これは、委任者を本人、受任者を代理人に置き換えると、任意代理における自動的な代理権消滅事由と同じであり、委任契約の終
了事由は、これを相手方に通知したとき、または相手方がこれを知っていたときでなければ、相手方に対抗することができない。
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C 消費貸借
消費貸借とは、ある物を借りてそれを消費したうえで、借りた物と同種・同量・同等の物を返還する契約のことをいい、宅建では次の
ような形となる。
@ 無利息が原則であり、特約がないと利息はつかない。
A 返還時期の定めがない場合、貸主は、相当の期間を定めて返還を請求できる。
B 返還時期の定めの宥無にかかわらず、借主は、いつでも返還できる。
本来、期限の定めのない債務は、いつでも弁済を請求でき、「相当の期間の定め」は不要だが、消費貸借では特別に要求されてい
る。
これは、借りた物を消費するのが前提となる契約なので、すぐに返すことは不可能な為、同種・同量・同等の物を調達するための猶
予期間が必要となるからであり、返還時期の定めがない消費貸借において、貸主から返還の請求があった場合、借主は、相当の期
間が経過するまでは履行遅滞の責任を負わないと主張することができる。
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D 贈与
1. 贈与とは
人に無償で物をあげる契約をいう。
2. 書面によらない贈与の撤回
書面によらず締結した贈与契約は、各当事者が撤回することができる。
ロ約束だけの贈与なら撤回してよいが、履行が終了した後では、もはや撤回できなくなる。
不動産の贈与の場合、履行の終了とは、引渡しまたは登記の移転のどちらかが行われた場合をいい、引渡しと登記の両方が行わ
れる必要はない。
3. 贈与者の担保責任
贈与の目的物に瑕疵がある場合、原則として贈与者は瑕疵担保貴任を負わない。
ただし、贈与者が瑕疵の存在を知っていながら告げなかったときは、例外的に責任が生じ、贈与を受けた者から損害賠償の請求な
どができる。
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E 組合
1. 組合とは
組合とは、各当事者(組合員)が出資して共同の事業を営むことを約する契約をいう。
2. 組合の対内関係
各組合員は原則として、業務執行を行う権利義務を有し、全組合員が業務執行権を有する場合は、組合員の過半数をもって業務執
行を決定する。
3. 組合の財産関係
(1) 組合員の出資
各組合員は、組合契約によって出資の義務を負担し、これを怠ったときは、利息を支払うほか、損害の賠償をしなければならない
(2) 組含財産の帰属
組合財産は、総組合員の共有に属すが、普通の共有と違い、組合が存在する限り、分割請求をすることはできず、また、持分権
を処分しても組合に対抗できない。
組合の債務者は、各組合員に対して分割的に債務を負担するものではないので、その債務と組合員個人に対する債権を相殺す
ることはできない。
(3) 組合債務の帰属
組合の債務は、組合財産で弁済すべき義務を負うと同時に、各組合員も損益分配の割合に応じて分割的に弁済すべき義務を負
う。
なお、損益分配の割合は、契約で定めることができ、定めがない場合は、出資の価額に応じた割合となる。
ただし、債権者がその債権発生当時に、損益分配の割合を知らなかったときは、各維合員に対して均一に権利を行使することが
できる。
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