@ 物権変動とは
所有権などの物権が発生、変更および消滅することをいい、物権変動は、原則として、契約をしただけでその効力が生ずる。
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A 対抗要件
不動産の物権変動を第三者に対抗するためには、登記を得ておかなければならないが、物権変動の当事者間において権利を主張
する場合は登記を必要としない。
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B 第三者の範囲
登記がないと物権変動を対抗できない「第三者」とは、その物権の目的物に対して正当な利害関係をもっている者に限定され、正当
な利害関係の有無が問題になるのは、次のような者が関与している場合です。
1. 単なる悪意者
単に悪意であるものは第三者に含まれ、悪意の第三者に対しても、登記をしておかないと権利を主張できない。
2. 登記申請を妨げた者等
詐欺や強迫、その他悪質な方法により登記を妨げ、自己の登記を先にしたような者に対しては、登記なくして所有権を主張できる。
3. 背信的悪意者
単なる悪意と異なり、登記をしていないのに乗じていやがらせをし、または登記をしようとしている者に、高く売りつけるなどの悪質
な目的をもって二重に譲り受けた者等を背信的悪意者といい、登記なくして所有権を主張できる。
4. 不法占拠者・無権利者
建物を不法に占拠している者や、契約なくして登記に必要な書類などを盗んで自己名義に登記した者も「第三者」に含まれず、不
法占拠者や無権利者に対しても、登記なくして所有権を主張できる。
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C 不動産物権変動と登記
1. 所有権と所有権以外の権利
所有権と所有権以外の権利の優劣も、登記の先後によって決着が図られ、たとえば、所有権移転と抵当権設定が異なる人物に行
われた場合、権利は異なるが、権利自体の優劣ではなく登記の順序により異なる。
2. 取消しと登記
取消し前に出現した第三者との優劣関係は、詐欺・強迫などの規定により、第三者の善意・悪意によって決められるが、取消し後
に出現した錦三者との関係は、登記の先後で決し、第三者の善意・悪意は間われない
3. 取得時効と登記
時効完成前に真の権利者から権利を譲り受けた者に対しては、登記なくして時効による権利取得を主張できるが、時効完成後に
権利を譲り受けた者に対しては、登記なくして時効による権利取得を主張できない。
4. 解除と登記
解除前に出現した第三者との関係は、第三者が登記を得ているかどうかで決まり、解除後に出現した第三者との関係は、登記の
先後で決し、第三者の善意・悪意は間わない。
5. 共同相続と登記
被相続人が死亡し、その土地を2人で相続で共同相続したにもかかわらず、一方が勝手に単独所有とする登記をし、その土地全て
をに売却して登記を移転した場合、もう一方の相続人は自己の1/2の持分について登記なくして登記の移転者に対し権利主張できる。
これに対し、上の事例と同じく共同相続した土地を、遺産分割により単独所有とし、その後他の相続人が遺産分割前に有していた当
該土地に対する自己の相続分を譲渡した場合は、登記をしておかないと、土地の権利を主張できない。
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