業務上の規制
ここでは業務上の規制について触れていきます。
業務上の規制の内、契約に関する事項について行います。
ページ内目次
■媒介契約・代理契約
◆媒介契約・代理契約とは
◆媒介の種類
◆媒介契約の種類に応じた規制
◆媒介契約書面
■宅建業法の目次へ
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媒介契約・代理契約とは
媒介契約・代理契約とは、宅建業者が、宅地・建物の売却希望者・購入希望者などから、契約の相手方を探すことなどの依頼を受けた際に締結する契約です。
宅建業法は、媒介契約と代理契約について、ほぼ同じ内容の規制をしています(媒介と代理とで異なる規制がされているものとしては報酬限度額の制限が挙げられる)。
なお、媒介契約・代理契約の規制は、宅地・建物の売買・交換の媒介・代理に適用され、貸借の媒介・代理には適用されません。
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媒介の種類
媒介契約の種類は, 一般媒介契約(明示型と非明示型)、専任媒介契約{専属型(専属専任媒介契約) と非専属型}とに分けられる。
一般媒介契約は、依頼者が他の宅建業者に重ねて依頼できるタイプであり、専任媒介契約は、それができないタイプです。
一般媒介契約の明示型というのは、依頼者が他の宅建業者に重ねて依頼したときに、その他の宅建業者を明示する義務のあるタイプで、非明示型の場合には、そのような義務はありません。
専任媒介契約の場合には、依頼者は他の宅建業者に重ねて依頼することができませんが、専属専任媒介契約の場合には、それに加えて、依頼者が自ら発見した相手と契約することも禁止されます(自己発見取引の禁止)。
これに対し、非専属型の専任媒介契約の場合には、他の宅建業者に重ねて依頼することはできないものの、自己発見取引は許されます。
なお、いずれの専任媒介の形態であっても、宅建業者が探索した相手方と取引を現実にするか否かは、依頼者の自由ですが、依頼者が、専任媒介契約に違反して、他の宅建業者を通して売買契約等をし、あるいは、専属専任媒介契約の場合に、自ら発見した相手と売買契約等をしてしまうと、通常は、報酬相当額の損害賠償義務を負うことになる。
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媒介契約の種類に応じた規制
1.有効期間の制限
専任媒介契約の有効期間
@ 専任媒介契約の有効期間は3カ月を超えることができない。
3カ月を超える有効期聞の定めをしたときは、有効期間は3カ月になる。
A 有効期間は, 依頼者の申出により更新することができる。
更新後の期間についても、@と同様の制限がされている。
有効期間の更新は有効期間が満了する時点で行い、事前に自動更新する旨の約束等をしても無効となる。
2.業務の処理状況の報告義務
専任媒介契約を締結した場合、宅建業者は、非専属型の専任媒介契約においては、2週間に1回以上、専属専任媒介契約においては、1週間に1回以上業務の処理状況を報告しなければならない。
この報告は、口頭でかまわない。
3.国土交通大臣が指定する流通機構(指定流通機構)への登録義務
宅建業法は, 専任媒介契約を締結した宅建業者に, コンピュータを使った情報ネットワークを利用して広く相手方を探索することを義務づけています。
この情報ネットワークを「指定流通機構」といい、宅建業法は、専任媒介契約を締結した宅建業者に次のような登録義務を課しています。
指定流通機構への登録
@ | 宅建業者は、専任媒介契約(専属専任媒介契約を除く)を締結したときは、指定流通機構に一定事項を契約の締結の日から7日以内(宅建業者の休業日は除く)に登録しなければならない。 | |
A | 宅建業者は, 尊属専任媒介契約を締結したときは, 指定流通機構に一定事項を契約の締結の日から5日以内(宅建業者の休業日は除く) に登録しなければならない。 | |
B | @、Aの登録をした宅建業者は、指定流通機構が発行する登録を証する書面を、遅滞なく、依頼者に引き渡さなければならない |
宅建業者は、指定流通機構へ登録した、宅地・建物の売買・交換契約が成立したときは、遅滞なく、@登録番号、A取引価格、B契約成立年月日を、指定流通機構に通知しなければならない。
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媒介契約書面
1.宅建業者は、宅地・建物の売買・交換の媒介契約を締結したときは、遅滞なく、媒介契約の内容を記載した書面(媒介契約書面) を作成し、記名押印したうえで、依頼者に交付しなければならない。
2.媒介契約書面の記載事項
@ | 宅地の所在・地番等、建物の所在・種類・構造等 | |
A | 宅地・建物を売買すべき価額・評価額 | |
B | 依頼者が他の宅建業者にも依頼することの許否(専任媒介契約かどうか)、依頼できる場合に他業者を明示する義務の存否(明示型かどうか) | |
C | 媒介契約の有効期間・解除に関する事項 | |
D | 指定流通機構への登録に関する事項 | |
E | 報酬に関する事項 | |
F | 専任媒介契約の場合、依頼者が他の宅建業者の媒介・代理によって、売買・交換契約を成立させたときの措置 | |
G | 専属専任媒介契約の場合、依頼者が宅建業者の探索した相手方以外の者と売買・交換契約を締結したときの措置 | |
H | 明示型の一般媒介契約の場合、依頼者が明示していない宅建業者の媒介・代理によって、売買・交換契約を成立させたときの措置 | |
I | 当該媒介契約が、国土交譚大臣が定める標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別 |
3.宅建業者は、媒介契約書面に記載した宅地・建物を売買すべき価額、またはその評価額について意見を述べる場合には、その根拠を明らかにしなければならない。
なお、上記3の「価額・評価額についての意見の根拠」は、口頭で述べてもよく、書面にする必要はなく、「根拠」となるものとしては価格査定マニュアルによる査定や、同種の取引事例があります。
――――重要語句―――― | |
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標準媒介契約約款 | 国土交通省がつくった媒介契約のモデルのこと。依頼者と宅建業者は、法律に違反しない範囲で、媒介契約の内容を自由に決めることができる。 |