宅建業の制度

 ここでは宅建業の制度について触れていきます。
 制度の内、免許については先に学びましたので、ここでは免許制度の内、宅地建物取引主任者について掘り下げていきます。

ページ内目次

 宅地建物取引主任者
  ◆取引主任者
  登録の申請
  登録の規準
  登録の方法と変更の申請
  変更の登録の申請
  登録の効力
  登録の移転
  死亡等の届出
  取引主任者証の交付
  取引主任者証の効力と有効期限
  取引主任者証の提示と返納
  登録の移転と取引主任者証
  専任の取引主任者の設置義務
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取引主任者

1.取引主任者になるまでの手続き
 取引主任者になるためには、まず宅建試験に合格することが必要ですが、合格しただけでは単なる「合格者」です。
 主任者登録を受け、取引主任者証の交付を受けることにより、はじめて「取引主任者」となります。
 これに対し、主任者登録を受けただけで、取引主任者証の交付は受けていない者を「宅地建物取引主任者資格者(取引主任者資格者)」と呼びます。
 交付を受けるには試験に合格し、2年以上の実務経験または、国土交通大臣の登録を受けた講習(登録実務講習) の修了等をし、登録欠格要件にあたらないことの条件が必要。
 さらに申請時には、登録をしている都道府県知事の指定する、申請前6カ月以内に行われる講習を受講しなければならない。


2.取引主任者の仕事
 取引主任者の事務
  @ 重要事項の説明をすること
  A 重要事項説明書に記名押印すること
  B 契約の成立後に交付する書面(37条書面) に記名押印すること
 これらの事務を行うことができるのは、あくまでも取引主任者だけです。
 単なる宅建試験合格者や、取引主任者資格者は、これらの事務を行うことができません。
 また、取引主任者であれば、専任であるか否かにかかわらず、上記の事務を行うことができます。

――――重要語句――――
記名押印 名前を記入して, 印鑑を押すこと。

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登録の申請

 登録は都道府県知事が行いますが、自分が合格した宅建試験を行った都道府県知事の登録を受けることになります。
 他の都道府県に登録する場合、上記登録後、他の都道府県に登録の移転を行ないます。
 なお、2以上の都道府県で宅建試験に合格しても、いずれか一つの都道府県知事の登録しか受けることができません。
 また、登録を受けるか否かは自由なので、登録をしなくても試験の合格が無効になったりすることはありません。
 不正受験等を理由に取り消されない限り, 合格の効力は一生有効です。

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登録の規準

 登録申請がされた場合、申請を受けた都道府県知事は、申請者が登録を受けられる者であるか否かをチェックします。
 登録を受けるためには、宅建試験に合格していることのほか、2年以上の実務経験等を有すること、 登録の欠格要件に該当しないことが必要です。
@  宅建業に係る営業に関し、成年者と同一の行為能力を有しない未成年者 
A  成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ない者
B  宅建業法66条1項8号または9号に該当することにより、免許を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者(免許を取り消された者が法人である場合は、その取消しに係る聴聞の期日・場所の公示日前60日以内にその法人の役員であった者で、その取消しの日から5年を経過しないもの)
C  宅建業法66条1項8号または9号に該当するとして、免許取消処分の聴聞の期日・場所が公示された日から、処分をするかしないかを決定する日までの間に、廃業の届出をした者(廃業をするについて相当の理由がある者を除く) で、届出の日から5年を経過しな者
D  Cの期間内に合併により消滅した法人、または解散・廃業の届出があった法人(相当の理由がある場合を除く) の聴聞の期日・場所の公示日前60日以内に役員であった者で、その消滅または届出の日から5年を経過しない者
E  禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
F  宅建業法もしくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反したことにより、または傷害罪、傷害現場助勢罪暴行罪、凶器準備集合罪、脅迫罪、背任罪もしくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 
G  不正登録等の理由で登録消除処分を受け、その処分の日から5年を経過しない者
H  Gの登録消除処分に係る聴聞の期日・場所の公示日から、処分をするかしないかを決定する日までの間に、登録の消除の申請をした者(相当な理由がある者を除く)で、登録が消除された日から5年を経過しない者
I  事務禁止処分を受け、その禁止期間中に、本人からの申請により登録が消除され、まだその期間が満了しない者
 @は免許の場合と異なり、AからFまでは、宅建業の免許の場合とほぼ同様の基準です。
 FからIまでは, 登録の基準に独特のもので、このうち、Iは、GHの登録消除処分より1つ軽い事務禁止処分を受けた場合です。
 事務禁止処分を受けた場合、その期間中は取引主任者としての仕事ができないので、再度の登録を認める必要がなく、処分期間中は登録できません。
――――重要語句――――
事務禁止処分 年以内の期間を定めで、その期間内、取引主任者としてすべき事務を行うことを禁止する処分のこと。

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登録の方法と変更の申請

 登録は、都道府県知事が、宅地建物取引主任者資格登録簿(主任者登録簿) に、一定の事項を登載するという方法によって行われます。

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変更の登録の申請

 登録を受けている者はその氏名、住所、本籍、勤務先の宅建業者の商号・名称・免許証番号等に変更があったときは、登録を受けている都道府県知事に対し、遅滞なく、変更の登録を申請しなければならない。

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登録の効力

 登録には, 有効期間の定めがなく、登録の消除がされない限り、一生有効です。
 宅建業の免許や取引主任者証の有効期間(いずれも5年) とは異なります。
 また、どの都道府県知事の登録・取引主任者証の交付を受けたとしても、日本全国で取引主任者としてすべき事務を行うことができます。

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登録の移転

 取引主任者証の有効期間は5年であり、その更新のたびに、登録している都道府県知事の指定する講習を受けなければならない。
 そのため、住居地と登録地が異なる場合、非常に不便なため、登録を他の都道府県知事に移転する制度(登録の移転制度)が設けられています。
 登録の移転の申請
@ 登録を受けている者は、登録を受けている都遺府県以外に所在する、宅建業者の事務所の業務に従事し、または従事しようとするときは、移転先の都道府県知事に対して、登録の移転を申請することができる。
A 登録の移転の申請は、現に登録を受けている都道府県知事を経由して行う。
B 事務の禁止期間中は、登録の移転の申請を行うことができない

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死亡等の届出

 登録を受けている者が死亡したり破産したりした場合(欠格要件)、その者の登録を消除する必要があり、死亡等の事実が生じた場合には、その旨を、登録を受けている都道府県知事に、30日以内に届け出なければならない。
@  死亡したとき、相続人が、届出をする。
A  宅建業に係る営業に関し、成年者と同一の行為能力を有しない未成年者になったとき、本人が届出をする。
B  破産者で、復権を得ない者になったとき、本人が届出をする。 
C  宅建業法66条1項8号または9号に該当することにより、免許を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者(免許を取り消された者が法人である場合は、その取消しに係る聴聞の期日・場所の公示日前60日以内に、その法人の役員であった者で、その取消しの日から5年を経過しないもの) に該当するようになったとき、本人が届出をする。 
D  宅建業法66条1項8号または9号に該当するとして、免許取消処分の聴聞の期日・場所が公示された日から、処分をするか、しないかを決定する日までの間に、廃業の届出をした者(廃業をするについて相当の理由がある者を除く) で、届出の日から5年を経過しない者に該当するようになったとき、本人が届出をする。
E  Dの期間内に合併により消滅した法人、または解散・廃業届出があった法人(相当の理由がある場合を除く) の聴聞の期日・場所の公云日前60日以内に役員であった者で、その消滅または届出の日から5年を経過しない者に該当するようになったとき、本人が届出をする。 
F  禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者に該当するようになったとき、本人が届出をする。 
G  宅建業法もしくは、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反したことにより、または、傷害罪、傷害現場助勢罪、暴行罪、凶器準備集合罪、脅迫罪、背任罪、もしくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者に該当するようになったとき、本人が届出をする。
H  成年被後見人になったとき、成年後見人が、届出をする。
I  被保佐人となったとき、補佐人が、届出をする。

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取引主任者証の交付

1..取引主任者証の交付手続き
 取引主任者証の交付を受けようとする者は、次の@Aを除き、登録をしている都道府県知事が指定する講習(法定講習)で、交付の申請前6月以内に行われるものを、受講しなければならない。
 @ 試験に合格した日から1年以内に、取引主任者証の交付を受けようとする者
 A すでに取引主任者証の交付を受けている場合で、登録の移転とともに新たな取引主任者証の交付
  を受けようとする者

2.取引主任者証の記載事項・書換え交付
 取引主任者証には、次のような事項が記載され、取引主任者は、その氏名または住所に変更が生じたときは、遅滞なく、変更の登録の申請をするとともに、取引主任者証の書換え交付の申請をしなければならない。
 なお、この場合、新たな取引主任者証の交付は、当該取引主任者が現に有する取引主任者証と引換えに行われます。
  @ 取引主任者の氏名・生年月日・住所
  A 登録番号・登録年月日
  B 取引主任者証の交付年月日
  C 有効期間の満了する日

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取引主任者証の効力と有効期限

 取引主任者証の有効期間は5年のため、その後も取引主任者であり続けるためには、有効期間の更新を受けなければならない。
 この更新申請は、登録をしている都道府県知事に対して新たな取引主任者証の交付を申請することにより行い、この場合も、法定講習を受講しなければならない。
 そして、更新が行われた場合、新たな取引主任者証は、当該取引主任者が現に有する取引主任者証と引換えに交付される。

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取引主任者証の提示と返納

1.提示義務
 重要事項の説明の際には、取引主任者証を相手方に提示しなければならない(説明の際に提示しなかった場合、10万円以下の過料に処せされる)。説明をしようとする者が取引主任者であることを、相手方にきちんと示すためで、また、重要事項の説明の場合以外でも、取引の関係者から請求があったときは、取引主任者証を提示しなければならない。

2.返納・提出義務
 有効期間の満了等によって取引主任者証が効力を失ったり、登録が消除されたりした場合、取引主任者は、速やかに、取引主任者証をその交付を受けた都道府県知事に返納しなければならない。
 また、取引主任者は、事務禁止処分を受けたときは、速やかに、取引主任者証をその交付を受けた都道府県知事に提出しなければならない。
 提出先は、事務禁止処分をした都道府県知事ではなく、取引主任者証の交付を受けた都道府県知事となります。
 なお、取引主任者証の提出を受けた都道府県知事は、事務禁止期間が満了した場合において、提出者から返還請求があったときは、直ちに、当該取引主任者証を返還しなければならない。

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登録の移転と取引主任者証

 取引主任者証は,登録の移転が行われた場合、従来の取引主任者証は、その効力を失います。
 したがって, 登録の移転後、移転先の都道府県知事から取引主任者証の交付を受ける必要があります。
 このとき、移転の申請の際には、新たな取引主任者証の交付を合わせて申請することができます。
 新たな取引主任者証の有効期間は、前の「取引主任者証の有効期間が経過するまでの期間」、すなわち、前の取引主任者証の有効期間の残りの期間になります。
 要するに、移転前の取引主任者証と移転後の取引主任者証の有効期間をあわせると5年で、その代わり法定講習の受講が不要とされています。
 なお、新たな取引主任者証は、前の取引主任者証と引換えに交付されます

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専任の取引主任者の設置義務

1.設置場所・人数
 専任の取引主任者を設置すべき場所
 ・事務所
 ・次のうち、そこで契約(予約を含む) を締結し、または契約の申込みを受ける場所
  
@ 継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で、事務所以外のもの
A 宅建業者が一団の宅地建物の分譲を、案内所を設置して行う場合の当該案内所
B 他の宅建業者が行う一団の宅地建物の分譲の代理・媒介を、案内所を設置して行う場合の当該案内所
C 宅建業者が業務に関し、展示会その他これに類する催しを実施する場所 
 専任の取引主任者の人数
  @ 事務所  :業務に従事する者5人に1人以上
  A 事務所以外:1人以上

2.「成年者」
 専任の取引主任者は、原則として「成年者(満20歳以上の者)」でなければなりません。
 ただし、未成年者であっても、宅建業者であるか、または宅建業者の役員である場合には、専任の取引主任者になることが出来ます。
 また、20歳未満でも婚姻をすれば成年者とみなされるので、20歳以上の者と同様、専任の取引主任者になることができます。
 なお、「宅建業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者」は、登録自体が受けられません。

3.設置義務を満たさない場合
 専任の取引主任者の退職や、従業者の増加などによって、既存の事務所等が、専任の取引主任者の設置義務を満たさなくなったとき、宅建業者は、2週間以内に、新たな専任の取引主任者を置くか, 従業員数を減らすかしなければならない。
 このとき、専任の取引主任者が変わるため、都道府県知事に届け出なければならない。

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